丹羽大使襲撃事件について

丹羽大使襲撃事件当日ぼくは北京にいた。
その日は今回の北京出張最終日であった。
犯人はどういった人間だろう?と色々な推測があるが、僕なりにあくまで推測の範囲内で考えてみる。

2台の高級車
約10年ぶりの北京は物価が恐ろしいほどに上昇していた。昔行きつけだった香港式カフェのメニュー単価は10年前と比べてほぼ倍以上。
つくづく北京の生活水準の上昇はレストランやカフェにもモロに影響しているのだと実感した次第、市内や外環路を走る自動車も圧倒的に高級車が増えていた。
昔は国産と韓国産自動車ばかりで国際貿易センター付近や建国門あたりでやっと欧州ブランドの高級車を見かけたのだが、今や街中に欧州高級車が国産自動車と同じくらいとまでは言わないが溢れかえっていた。そしてリーズナブルな韓国産自動車はタクシーくらいしか見られなかった。恐らく昔韓国産自動車を乗っていた人民が今では高級車に乗り換えているのだろうと考えると富を生み出すパワーを感じずにはいられなかった。
(ぼくとしては日の丸自動車のシェアの低さにちょっと残念な思いでしたよ。)
話は逸れましたが今回の事件で大使の乗った車を襲った2台の車は名門ブランドのアウディBMWとのこと。今ではエントリークラスの比較的手頃な車両も販売されておりますが北京の平均的なホワイトカラーでも普通にこの2台を購入するまでの経済力は持ち合わせていない。
したがって犯人は経済力又は政治的力のある人物だと推測されます。
よって北京の一般的な市民では決してない事が解ります。


公安の目
中国の都市の幾つかに滞在すると北京市内の公安の数の多さに気がつくと思います。やはり首都だからなのか、それとも経済発展真っ只中にあるせいなのか10年前と比べても公安の数は増えていると感じました。
大使を襲撃する直前、十数分に渡り犯行に使われた2台の高級車が大使の乗った車を煽ったり、幅寄せ等の威嚇行動を行っていたと聞いているので、その様子を市内に散らばった公安関係者が発見できていないはずは無く。ましてや日中間の政治レベルでの摩擦が大きく取り上げている現状で、日本国の大使が乗った車を常にマークする公安の車だってあったはずである。
それでいて、十数分に渡る威嚇や強制停車、襲撃まで公安が何もしなかったのは些か疑問が残る。


偽装ナンバープレート
犯人の車が特定された時、車のナンバープレートは偽造であった。との情報が流れた。
中国ナンバープレートは徹底的に管理されていて、中国共産党のえらい人のナンバー、軍部関係者のナンバー等、解る人が見れば一発で只者ではない人の車であると解るらしい。今回の襲撃に使用された車は恐らくこの偉い人(ぼくは党のコントロールが効かない軍部関係者筋が強いと思う)の車で、現場の公安が動こうにも動けなかった、現場の判断では対応できない状態だったのではないか?と考えています。
そして、派手に襲撃してしまい周りを走る一般車両にも犯行に使われた自動車のナンバープレートが割れてしまったので、後々、苦し紛れにあれは偽造ナンバープレートだった。と情報を流したのではないか?と考えています。

今の中南海は軍部、人民、他国からの圧力で上手い舵取りをしなければいけません。シンプルな言葉で言うと、一方の見方をすると他の一方(又は二方)の不満が高くなる状況。なので、中南海は秋の人民代表大会まで穏便に世代交代ができるのかどうかこれからも注視していきたい。

中南海は今まさに『想不通头疼,想得通心疼(なにも良いアイディアが浮かばないと頭が痛い、打開策を閃いたら心がいたい)』状況なのでしょう。